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アイは鮎、ウゥは鰻(又はオナギ)。
チヌダイは茅渟鯛、黒鯛。
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幕末生れの人達の言葉を知る、1898(明治31)年、大阪船場生れの著者のライフワークが『大阪ことば事典』である。
類書との明らかな相違は、辞典でなく事典であること。
従って、単語+現代語訳の羅列に留まらず、大阪らしい用法・地名・歌謡・風俗・習慣・年中行事等にわたる解説がある。
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さらに、よくぞ調査・収集・解読したものと感心すべき出典が示される。
その多くは板書の如き印刷ものでなく、古典籍(肉筆・写本)と見られ驚嘆する。
先のチヌダイでは、
(前略)『物類称呼』巻二、動物の部に「くろだひ。東武にて、くろだひと云ふ。畿内及中国・九州・四国ともに、ちぬだひと呼ぶ。此魚、泉州茅渟浦より多く出るゆへ、ちぬと号す」と見える。(後略)
ヒルアミ昼網・トト(魚の小児語)等、語源もキッシリ示される。
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牧村史陽:『大阪ことば事典』
2000年08月21日第23刷、講談社学術文庫658、
772+xiiipp・講談社・¥1800(税別)
http://www.kodansha.co.jp/
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言葉の専門家の良書に、巡り合えるとは、何と幸せなことよ。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん
