2008年04月23日

『顕微鏡下の驚異』

『顕微鏡下の驚異』

科学画報叢書5の『顕微鏡下の驚異』は、楽しい。
初版は1931年、よしさん蔵書は1935年の再版である。

その執筆陣も、当代一流で
「珪藻」は、水産講習所教授東 道太郎
「プランクトン」は、東北帝国大学教授小久保清治理学博士
「淡水の微生物」は、東京市衛生試験場洞澤 勇
「魚の鱗と耳石」は、東京帝国大学教授雨宮育作農学博士
「甲殻類の眼」は、水産講習所教授寺尾 新理学博士、等々

『顕微鏡下の驚異』仲摩照久:編、
1935年04月30日・再版、303p、新光社、2円

釣り場の水底にいるセンチュウに似た「十二指腸虫」「東洋毛様線虫」や「フィラリア」、藍藻アナベナ(Anabaena macrospora)に似た「連鎖状球菌」、はたまたオタマジャクシに似た「コレラ菌」と、興味は尽きない。

顕微鏡観察は驚きの連続である。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年04月20日

『日本水産動物学』

『日本水産動物学』

東北帝国大学教授藤田經信著『日本水産動物学』増訂版(第3版・上下2巻)は、興味深い。
1912−1913(大正元−02)年発行と、今や古色蒼然としてはいる。

例えば、324〜325ページの「わかさぎ属」。
学名の後に各鰭の棘刺数が記載され、繊細な線画や、生態と漁獲法の説明がなされている。

例えば、総論18〜20ページの「浮遊生物」や、434ページ及び図解の「切甲類」。
「プランクトン即チ浮遊生物ノ名称ハ ヘンセン ノ命名セルモノナリ・・」

1902年の第1版から、一世紀が過ぎている。
約5000年前の縄文時代から、4900年間(100年前・明治時代)に、何がどこまで解明されていたのか。
続く100年間に、何がどこまで解明されたのか。
明らかにされた事実を比較すると、新技術開発に立脚して、学問の進歩があるようだ。

藤田經信『日本水産動物学』増訂版(第3版・上下2巻)
1912年08月05日(上)、1913年05月25日(下)、裳華房 561p+24p・3円

漁労・増養殖・超音波・光学機器・電子顕微鏡・航空機(人の移動)・通信・デジタル化・インターネット等々、学問を取り巻く技術環境を想うと、これからの100年は、今までの100年を凌駕するだろう。
『日本水産動物学』大規模図書館で閲覧可能かも。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年04月09日

『日本水生植物図鑑』

『日本水生植物図鑑』

『日本水生植物図鑑』は、素晴らしい。
購入する時は、その価格に躊躇し、何度も悩んだ。

けれど、Illustrated Japanese Water Plants. を名乗り、多くの植物研究機関で、水生植物同定に用いられる基本図書のひとつとあっては、手元に置かざるを得ない。
300以上の水草を、約150の全体図版(と部分画多数)の左ページと、説明の右ページという見開きで構成し、理解しやすい。
例えば、イチョウウキゴケの仮根先端部のように、あたかも顕微鏡写真から描いたようなモノクロ線画に驚喜できる。

『日本水生植物図鑑』大滝末男・石戸 忠、
1980年07月05日初版・318p・北隆館 ・¥8240
http://hokuryukan-ns.co.jp/books/zukan.html

水草に興味を持つ各方面に、お勧めしたい。
2007年復刻版・¥18000+税(発行200部とか)なら、まだ入手可能かも。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年04月08日

ワカサギ図書室

ワカサギ図書室

ワカサギ図書室は、名の通り、ワカサギに関する文献・資料類を収集し公開している。

しかし、よしさんの私設だけに一般の図書室とは大分相違し、勝手も違うものと思う。
●利用は、インターネット閲覧のみ
●本文等の公開はせず、リストのみ公開
●リストは、刊行(発行)年月日順に掲載
●リスト項目は、刊行(発行)年月日・書名・著者・ページ数・出版社・価格・ワカサギ関連項目&そのページ

「亀山湖牛久沼ワカサギ情報」ワカサギ図書室
http://wakasagi.jpn.org/

2003年末から作りはじめたワカサギ文献リストであるが、当初の思惑を越え、肥大化し、昨今はワカサギの餌料たるプランクトン関連分野も多く所蔵する始末になった。
結果的に、ワカサギ図書室の看板の隣に、小さくプランクトン図書室の看板も掲げられたようだ。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年03月28日

『魚の分類の図鑑 世界の魚の種類を考える』

『魚の分類の図鑑 世界の魚の種類を考える』

『魚の分類の図鑑 世界の魚の種類を考える』の目次は、魚のカラー写真で、いわゆる魚名の列挙はない。
世界の海水魚と淡水魚は、62種類(目)の目次に集約されている。
つまり、魚の姿から検索するスタイルで、これなら初見の魚で名が判らなくても見当がつき、ありがたい。

「分類群名の列挙では研究者以外の読者には意味がない」という強い主張を持つ、Ph.D.や水産学博士の存在が感じられ、嬉しく思う。

目に辿り着くと、そこに代表種のカラー写真があり「あぁこれだ」と和名・学名も判る仕掛け。
目の中に、亜目・科・属・種が、それぞれいくつ確認されているのかも示されている。

『魚の分類の図鑑 世界の魚の種類を考える』
上野輝彌・坂本一男(1999年12月20日、第1版第1刷、155pp、東海大学出版会、¥2800+税)
http://www.press.tokai.ac.jp/top.jsp

レファレンス用に手元にあると便利だ。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年03月26日

『学生版 日本動物図鑑』

『学生版 日本動物図鑑』

北隆館の『学生版 日本動物図鑑』、これはお勧めだ。
得意分野以外の、ちょっとしたことを確認したい時の、スグレモノである。

国内産動物2051種と外国産動物534種が収録され、図版も多く簡単な同定にも、使える。

『学生版 日本動物図鑑』
内田 亨監修・501pp・北隆館・1800円+税
http://hokuryukan-ns.co.jp/books/zukan.html

重宝しています。よしさん本
posted by よしさん at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年03月23日

『アオコ その出現と毒素』

『アオコ その出現と毒素』

『アオコ その出現と毒素』は、「水の華を作る藍藻に含まれる有毒化合物の生産及び分解に影響する環境要因の解析」(1993)を基に、生物学・化学・医学等11人の研究者がまとめた、専門家向けの1冊である。

アオコ現象やそれを主に引き起こす藍藻類の詳細と、さらにその毒性の正体・化学式構造・培養方法・分析手法・臨床事例・発がん性等について記述され、既に入門書を卒業し、先に進みたい読者に好適であろう。

『アオコ その出現と毒素』
渡辺真利代・原田健一・藤木博太 1994年07月20日・初版
東京大学出版会 257pp・¥4738
http://www.utp.or.jp/

本書中、諏訪湖におけるアオコの発生報告の古いものに、
宝月欣二・北沢右三・倉沢秀夫・白石芳一・市村俊英(1952)「内水面の生産及び物質循環に関する基礎的研究(1)」、水産資料研究、(4)41-127pp、が挙げられている(第4章)。
引用されるほどの業績を残した報告の第1著者と、よしさんは同職場にいた時代もあり、懐かしい。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
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2008年03月20日

『中国動物誌 節足動物門甲殻綱淡水枝角類』

『中国動物誌 節足動物門甲殻綱淡水枝角類』

一連の『中国動物誌』が北京の科学出版社から発行されている。
例えば、『中国動物誌 硬骨魚綱』シリーズ。
例えば、『中国動物誌 円口綱軟骨魚綱』。
例えば、『中国動物誌 鳥綱』シリーズ。
例えば、『中国動物誌 無脊椎動物』シリーズ。

なかでも、『中国動物誌 節足動物門甲殻綱淡水枝角類』は興味深い。
淡水産ミジンコ類について、総論で研究簡史、分類系統、形態、生物学、地理分布、経済意義を述べ、各論では科・属・種の形態特徴、生境、地理分布等が192図版と共に紹介されている。
巻末に、参考文献・中名索引・学名索引も整備され、親切である。

『中国動物誌 節足動物門甲殻綱淡水枝角類』
《FAUNA SINICA Crustacea Freshwater Cladocera》
蒋燮治・堵南山,科学出版社,1979年,297pp. 3.00元

特に、透明薄皮蚤Leptodora Kindtiの図版は、第1触角・脳側面・腹神経・複眼断面・単眼断面・心臓等の各部・全体とも秀逸で感嘆する。

ワカサギをはじめ、ふ化仔稚魚の餌料たるプランクトンだが、学ぶほど奥が深く、エンドレスの様相を呈してきた。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年03月16日

『私たちの養老川』

『私たちの養老川』

『私たちの養老川』は、千葉県養老川の養老渓谷から、河口までの川下り記である。
文章よりカラー写真が多く、写真集として貴重に思える。
養老川中流の高滝ダムは工事中で、境橋の上下流・仮設橋・新旧加茂橋等々が懐かしい。

地元・市原市五井に生まれ育った著者の、表紙絵「元漁業組合事務所全景」や、川の流れのように、くねった題字は微笑ましい。
『私たちの養老川』地引春次 180pp. 箱
1987(昭和62)年12月20日 (自費出版)

流通していないから、入手は困難であろう。
市原市の図書館で、読めるかも知れない。
「ザ・レイクチャンプ」主宰よしさん本
posted by よしさん at 22:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年03月14日

千葉県亀山湖におけるオオクチバス資源量の推定

千葉県亀山湖におけるオオクチバス資源量の推定

「千葉県亀山湖におけるオオクチバス資源量の推定」は、千葉県水産総合研究センター研究報告(2006年)に公表された、根拠のあるデータである。
調査期間は、1998〜2000年とやや古いものの、釣り人には興味深いものと思う。

報告の概要は、
ルアーで釣獲されたオオクチバス1000尾にタグを付け放流、再釣獲したオオクチバス1970尾中に60尾のタグ魚を確認。
ここから、亀山湖におけるオオクチバス資源量を、1529尾〜12048尾と推定している。
また、生息密度は全湖平均の単純算数で0.11〜0.87尾/100m2となるが、分母の湖沼面積を生息可能な場所に限定すれば、榛名湖・芦ノ湖と同等以上と結論している。

詳細を知りたい釣り人のために、「千葉県亀山湖におけるオオクチバス資源量の推定」(pdfファイル)へのリンクは、「ザ・レイクチャンプ」シークレット・ポイントの亀山湖に設定した。

ついでに、「オオクチバスの空中曝露後の生存率」を読んでも、立腹しないようお願いしたい。
なぜなら、水産試験場の仕事は、根拠を作ることだからである。
よしさん本
posted by よしさん at 20:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年03月12日

『動物プランクトン』

『動物プランクトン』

川と湖の博物館シリーズの2にあたる『動物プランクトン』は、楽しい。
図鑑だけあって、水辺の地上風景写真とプランクトンの顕微鏡写真が豊富に収録されており、読むより見て親しめる趣向である。

とはいえ、プランクトンの簡単な解説と、巻末には学名索引もあり、入門用の1冊にお勧めしたい。

『動物プランクトン』森下雅子
(1996年01月30日・第1刷・161p・山海堂・¥1980)

よしさん架蔵書扉の著者献辞「恵存」は、母娘のDNAの一種であろう。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 11:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年03月06日

『内水面漁業協同組合の環境保全機能』

『内水面漁業協同組合の環境保全機能』

明治大学大森正之助教授(1957生まれ)が中心となって、2000年03月に、報告された『内水面漁業協同組合の環境保全機能』(副題:環境経済学および環境社会学からの接近)には、教えられることが多い。

1999年05月〜06月に、全国の876内水面漁協へアンケートを送付し、回収回答は533漁協であった(有効回収率60%)という数値からして、既に内水面漁協の低迷ぶりがうかがえる。
「内水面漁協の財務諸表の分析」「内水面漁協の流域環境保全状態を規定する諸要因」「流域環境保全協定の限界」は興味深く、特に、コースの定理を用いたまとめ「理論的および政策的含意」や、示された統計的解析により、(1999年当時の)内水面漁協の平均像と問題点が良く理解できる。

それから約10年。
零細な財政基盤・組合員減少・役員高齢化・環境保全作業負荷増大・魚類増殖負荷増大・内水面漁協の経営体数の減少等、現今も続く苦悩を思うと、ため息がでる。

『内水面漁業協同組合の環境保全機能』研究代表者大森正之(2000年03月31日、193ページ、全国内水面漁業協同組合連合会・増刷、非売品)

現場の端くれは、現在の枠組みの中で、ベストを尽くしたい。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年02月29日

国立国会図書館

国立国会図書館

久しぶりに、国立国会図書館を利用した。
閉館時刻を過ぎた深夜に、好きなBGMを流し、タバコを吸いながら、たった一人で心おきなく文献を探した。
本当の話である。

学会誌に掲載された報文は、学会誌として学会のメンバーに配られることが通例。
学会のメンバー以外の人は、必要な報文の投稿者にお願いして抜刷りを頂戴すること程度が、いわば従来法であった。

今回は、事前に国立国会図書館のメンバー登録をし、与えられたIDとパスワードにより、自宅のパソコン端末から、国立国会図書館の蔵書を検索し、さる学会誌に掲載された報文の複写+自宅への郵送をオンラインで依頼した。

ほどなく、水濡れ対策のビニル袋入り茶封筒で、請求書と共に、お目当ての報文が届いた。
リーズナブルな料金も、嬉しい。
支払いは、郵便ぱるる振替で自宅オンラインから即座に済ませた。

国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/
JRと地下鉄を乗り継いで、国立国会図書館へ通った頃、あれは何だったのか。
新しいインターネット法の便利さは、地方在住で時間も交通費も掛かるハンディを持つ、よしさんには大変ありがたい。本
posted by よしさん at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年02月26日

『ダム湖の生態学』

『ダム湖の生態学』

『ダム湖の生態学』森下郁子(1984)は、少し駆け足気味な記述ながら、ダム湖の様態・生物・富栄養化問題をはじめ、地方のダム湖46ケ所の陸水生物学的概要がまとめられている。

「ダム湖で大発生することが予測できるプランクトン」という意欲的な項目に混じって、冬の仙台近郊釜房湖で、ワカサギ釣りの穴からプランクトンネットを降ろした等、フィールドワークの一端も垣間見える。
巻末に、小島貞男・渡辺仁治・森下郁子報文リストがあるのは、親切で嬉しい。

『ダム湖の生態学』森下郁子(1984年・第2刷・191p・山海堂・¥2500+税)

ダム湖の生態に関する定番文献のひとつであるが、山海堂が2007年12月で業務停止・解散になり残念だ。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年02月18日

『自然とともに』

『自然とともに』

『自然とともに』の副題は「群馬県湖沼河川の陸水学的研究」である。
諏訪湖のほとりに生まれ、群馬県で永らく教職にあった著者(元・群馬大学教授)の研究と随筆、第3部に関係者の諸稿を掲載している。

よしさんの興味は第1部の
「人工湖赤谷湖の陸水学的研究」
「陸水学的にみた近藤沼,多々良沼,城沼について」等にあり、
どのような目的で、何を、どのような方法で調査・解析し、何を、どこまで、解明できたのかにあった。

著者は後に、群馬県内の湖沼を網羅した『群馬の湖沼』(1980、上毛新聞社)を監修されたが、群馬県平野部(東毛)の近藤沼については、本書『自然とともに』が詳しい。

『自然とともに』五味禮夫(287p、1971年06月30日、五味禮夫先生著書刊行会、煥乎堂、¥1200)
http://www.kankodo-web.co.jp/

今も手に入るかな、残部僅少(と思う)。
良書です。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 18:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年02月14日

『−風と波に生きた人々−新装版 霞ケ浦風土記』

『−風と波に生きた人々−新装版 霞ケ浦風土記』佐賀純一

霞ケ浦を取り巻く、地域の人々の口述を録音し、方言も忠実に筆に起こした聞き書き『−風と波に生きた人々−新装版 霞ケ浦風土記』には、大正・昭和を通じどこにでもいた普通の人が登場する。

例えば第6話、霞ケ浦のシラウオすくい漁。
「とれたなんてもんじゃねえよ、、今思うとなあ。一晩で、四十キロも五十キロも網ですくい採りできたんだから。カンテラの灯にシラウオが集ばってくるつっても、たあだ集ばってくんではねえかんな。ほんとに群なしてっとこさぶつかったれば、雨降ってっ時と同じだ。大粒の雨が降ってきて水面叩ぐつうと、バタバタ、水が沸き立ったようになるべな。ちょうどあれとおんなじ有り様だよ。魚が集ばり過ぎちまって、泳ぐせき(泳ぐ空間)がねくなって、バタバタ上さ跳ねんだよな。(以下略)」

読者は、『−風と波に生きた人々−新装版 霞ケ浦風土記』の中に、古き良き時代を発見し、タイムマシンを出た時のように、気がつけば、湖上で漁師の隣にいる自分を感じるだろう。

記憶を記録する著者の慧眼に感謝したい。
そのライフワークを形にし、良書を世に届ける発行元・常陽新聞社の姿勢も大いに評価できる。
日本語が堪能でない人には、英語版も出版された。

『−風と波に生きた人々−新装版 霞ケ浦風土記』佐賀純一(2002年・533p・常陽新聞社・¥2800+税)
http://www.joyo-net.com/index.html

よしさんお勧めの1冊本
posted by よしさん at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年02月04日

『淡水の動物』

『淡水の動物』

神奈川県自然総合実態調査報告書(動物篇)に、『淡水の動物』(1981年03月31日、神奈川県教育委員会、非売品)がある。
内容は、書名から想像される硬骨魚綱や両生綱、爬虫綱といった、釣り人になじみの脊椎動物門に片寄っていないことが特色のひとつだ。
むしろ、マイナーな存在であると思える原生動物門・海綿動物門・腔腸動物門・袋形動物門・触手動物門・節足動物門等に、紙幅の多くが費やされている。
カラーとモノクロ図版を多用し、400種以上の概要と研究動向を把握できる構成も、ありがたい。

『淡水の動物』の「神奈川県の水系概観」から、芦ノ湖のプランクトン・ノロ Leptodora kindtii は、マス類の餌料として放流されたことも読み取れ、興味深い。

朱色クロス装丁に金箔押し文字の『淡水の動物』を手にすれば、領域で一所懸命な先人の情熱が伝わり、前へ進む気力が湧いてくる良書である。
改訂版(軽装で良い)の、継続出版を望みたい。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 16:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2008年01月01日

『牛久沼のほとり』住井すゑ

『牛久沼のほとり』住井すゑ

1935年、夫・犬田卯の実家、茨城県稲敷郡牛久村城中(現・牛久市城中町)に転居後、代表作『橋のない川』等が執筆された。
『牛久沼のほとり』は、作家住井すゑ81歳(1983年)の刊行。

『牛久沼のほとり』には、1970年代の牛久沼と、そこで生活する人の様子が、会話を交えて再現されている。
例えば、隣家の主人菊松さん。
「あ、それもあっぺけんど、かんじんの餌がねえもんで、それで鰻がだめになっちまったのヨ。鰻の流し針につけるのはタニシだかんな。そのタニシ、農薬で死んじまったらしくて、どこのたんぼをさがしても、見つからねえんだよ」

『牛久沼のほとり』住井すゑ(1983年08月01日・269p・暮しの手帖社・¥1300)
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/
正月に、約40年前の牛久沼界隈をのんびり想起するのも、楽しいものだ。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2007年12月29日

『水域の窒素:リン比と水産生物』吉田陽一編

『水域の窒素:リン比と水産生物』吉田陽一編

日本水産学会春季大会(1993年04月05日)において開催されたシンポジウムの講演内容をまとめた、『水域の窒素:リン比と水産生物』は、良書である。
特に、V章「水域別の水産生物に及ぼすN:P比の影響」の10項に収録された「諏訪湖・霞ケ浦」沖野外輝夫は、示唆に富んだ報告である。

例えば、1978年の諏訪湖における月別N:P比グラフがあり、同年の月別動物プランクトングラフがある。
この2面から考察もできようが、さらに別の視点から眺めることにより、新たな「なぜ」を発見し、仮説を立て、研究を進めることも可能である点が、大いに評価できる。

もし、第3の視点に「ワカサギの生残率」を置くなら、
10月下旬に60%を占めていた甲殻類が、11月下旬に5%と激減し、ワカサギの大型餌料プランクトンが不足しているのではあるまいか、と疑問が湧き、他に優良な大型餌料が存在しなければ生残は困難であろう、との仮説が得られる。
そこで底生生物(イトミミズ類)や水生昆虫類のチェックが必要になる。
あるいは、2007年に置き換えたら、どうなるのか等々、実に良い事例を教示された。

『水域の窒素:リン比と水産生物』吉田陽一編(1993年・水産学シリーズ95・恒星社厚生閣・¥2800)
http://www.kouseisha.com/

漁場の各種調査は多面的解析の基礎で重要なこと、自力他力・有償無償を問わず、データの積み上げが漁場(釣り場)の未来を拓くと信じる。
牛久沼漁業協同組合顧問よしさん本
posted by よしさん at 18:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 図書文献

2007年12月27日

『水の自然誌』E.C.ピルー

『水の自然誌』E.C.ピルー

Evelyn C.Pielou は、1924年生まれ、カナダ・ハリファクスのダルハウス大学元教授である。

『水の自然誌』元版『Fresh Water』は、1998年刊行、布装丁$24.00・紙装丁版は$15.00とリーズナブルで、「貴重で有限な水の不思議なメカニズムをわかりやすく描写。全米で話題」だと云う(日本語版出版元)。

『水の自然誌』は、地下水・河川・湖沼等陸水の興味深い説明はもちろん、プランクトンに1章を当て、さらに大気中の水にも言い及んでいる。

一般向けの記述ながら、要所に図解が挿入され、巻末に原注も配されており理解しやすい。

狭く深い学問ではなく、広い範囲をカバーするナチュラリストの面目躍如である。
E.C.ピルーには、
『World of Northern Evergreens』
『The Enrgy of Nature』
『A Naturalist's Guide to the Arctic』等がある。

『水の自然誌』E.C.ピルー
(2001年04月30日2刷・320pp・河出書房新社・¥2400+税)
http://www.kawade.co.jp/

釣り人も、ゼネラリストであってほしいな。
よしさん本
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